2008年01月12日

デジタルサイネージとWebの発展過程の違い

デジタルサイネージについては、
ここのところ、もうずぅーっとそればかり考えてるわけだから、
本当に本当に書きたいことが山のようにあるのだけど、
でも、だからこそ、
具体的なエクスペリエンスデザインのキモや、機能開発の流れや、それらがコミュニケーションをどう変えていくかとか... ...
そういうことは書けない。

だけど、私らの業界に与えるもっとずっと俯瞰の影響っていうか、それによる危機や機会の本質についてなら書いても良いかな...そりゃむしろ書いた方がいいだろうって思い始めた。

よくデジタルサイネージの今をWebビジネスの萌芽期に例える人がいるけど、
それはある面でとてもよく似ているけど、ある面ではかなり違う。

何が違うかと言えば、もっとも大きいのは、

Webは 「+α」 で始まったけど、
デジタルサイネージは、「置き換え」なんだよね。

つまりWebは、既存の広告ビジネスとかを食うものとして出てきたのではなくて、
最初は、それもアリだなで始まってるわけ。
(もちろん、その後は徐々に置き換えも進んでいったのだけど)

でも、デジタルサイネージは、既存のOOH-POPの置き換えなんだよね。
Webみたいに新たな役割で既存メディアと役割分担して連係ってならないのよ。
いやたんに紙が映像に変わるとかじゃなくて、
その周辺もいろいろ置き換わっていく。
例えばインセンティブプレミアムのようなものさえ本質的に変えていく可能性が高い。
だって、誰でもわかってるようにデジタルサイネージ端末は、言うならPCだからね。
いろーんなインタラクティブな機能がぶら下がるから、ケータイとか電子マネーとか...とスグ連係するし...

こういうことのクライアントの理解の速度も違うはずだ。
だって、例えばCRMシステム連係とかそんなのも、
「いつか(Webとかで)通ってきた道」だからね。
だいたいが、今にしてみればあれはデジタルサイネージ...CRM連係まで考えた...なんてのは、Webビジネスが注目され始めた頃から、提案は幾つもあったのだ。
それが結局発芽しなかったのは、タイミングの問題...パネルやその他機材のコストや性能、回線のコストや性能、そんなこんなの条件がまったく揃わないで、理念だけで終わったからだ。
だから、分かってるヤツらはとっくに分かってる分野だ。

最初に金を出すのが誰かっていうことの違いもある。
ネット広告に初期に金を出したのは、IT関連企業とかを除けば、全体としては大企業は少なかった。
でも、デジタルサイネージはむしろ逆だろう。少なくとも出だしは。
その先は、枠あたりのコスト低減と(時間分割で)たとえばPOP付け替えみたいな周辺の運用の手間が変わるからむしろ中小企業の活用も増えるんじゃないかみたいなことも考えられるけど、
でも、忘れちゃいけないのは、

Webのスペースは無限に増やせるけど、
デジタルサイネージの広告スペースは(時間分割したりしても)有限だ。

無限と有限の違い

ってことだ。

当然、有限である方が、料金は高止まりしやすい。

それから、Webはどこからでも管理できるけど、
デジタルサイネージは中央管理になる。

もちろんデジタルサイネージも配信管理はASP化されるから、
リクツとしては、どこからでもできるわけだけど、
広告主の性格とも掛け合わせて考えると
それまで、バラバラだったものが、中央管理可能な形になるってことの方が意義は大きい。

分散と集中の違いだ。

これまでSPメディアは、一部を除けば、SP部門が課題対応で使うってかたちが中心だった。
額が小さいし、分散しているし、メディアプランつくる基礎になるような数字は取れないし、地方の小さいスペースの管理は大手代理店もあまり得意じゃないし... ...

でも、デジタルサイネージはこれを変えてしまう可能性が大きい。

全米4大ネットワークの次に視聴者数が多いのは、Wal-Mart TVなんだってさー
なんていうことを聞くことも多くなったけど
(その想像できる広告料金売上を考えれば、うーん...なんだけど...まーいいや)
とにかく、

「量」を「中央管理」で扱えるようになるわけだ。

TV並はないにしても、
「雑誌」並なら
大手小売が本格的に腰を上げれば
すぐにそうなる。

そうなれば、予算の性質も、作り手の性質も変わる。

購買時点で、TV並に予算を使ったイメージづくりをする
ATLの制作チームが、サイネージの映像を・購買時点も意識して
これまでより遙かに予算をかけてつくる
ようになる。

もちろんそこには大前提としてBTLのノウハウも必要になる。

つまり、デジタルサイネージは、

「それだけでTTLの体現」

みたいになっていくという面もある。

これは、総合広告代理店の文化を変えていく可能性がある。

地方のSP媒体中心の代理店とかには大きな打撃だ。
メジャークライアントの窓口は、東京集中してるからね。
地域の壁がなくなったらキツイ。

とにかく、これは、
「+α」じゃなくて「置き換え」なのだ。

そういう見方をすれば、
これは既存の関連ビジネスにたずさわってるものにしてみれば
すごく怖いものだし、
またすごくチャンスもあるものだ。

日本のマス媒体を除いたプロモーション市場が、
だいたい2兆円くらい。

この2兆円のかなりの部分...最終的にざっくり半分くらい??...
で置き換えが進んでいく。

もちろん、時間分割とかで、
設置場所あたりのメディア価値は高まる(使用効率が良くなる)だろうし、
基礎的なイメージをつくる部分も入ってくるから、
BTL市場全体の成長が加速していくってのもあるだろう。

でもさ、とにかく今のままだと「置き換え」られてしまうか否か
置き換えられてしまう可能性があるなら
先手打たなきゃね。

--

本当はさー
エクスペリエンスデザインの本質についてこそ真っ先に書きたいのだけどねー。

だってさ、高度な機能の発達なんか語る前に
街中や店頭をよく見てみてよ。

一見同じように置かれた映像モニタでも
明らかに注目されて大きな効果をあげているものもあれば
いつまで観察してたって、だーれも見ちゃいないじゃん
ってのもある。

そのビミョーな違いを理解することこそがまずは大事なはずだよ。

誰も見なきゃ、なんも始まらないからね。


posted by waki at 02:43 | Comment(2) | TrackBack(0) このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
具体的なことはなにも書けないながらも、ボクもやっぱりこの時期にデジタルサイネージについて書いておきたかったのでブックマーク&ちょっとしたコメント記事を書きました。


でも、わきさんの記事へのトラバが、何度やっても「失敗」になっちゃうのはーーー


>>言及リンクのないトラックバックは受信されません。

ーーー(記事リンクは貼っているので…)もしやまたSeesaaのエラーが出ちゃってるのかも、、です。

- - -
 っていうか、話しを本題に戻すと、このデジタルサイネージに関する話しって、ホント、わくわくしますねー。 すごい伝わります。
Posted by 石山城 at 2008年01月12日 16:31
こんちは、城さん。

>やっぱりこの時期にデジタルサイネージについて書いておきたかったので

このところ、急に検索ヒット数が増えましたよね。
もうみんな基礎的な準備・探りを終えて
いっきに動き始めたなって感じ。

いやまだまだ準備か。...でもこれからは表だって走りながらの準備ですよね。

上海の土産話は楽しみにしてます。
じゃ、いってらっしゃい。
Posted by わき at 2008年01月13日 11:40
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