2005年08月23日

数字が見えるようになるまでは経営者の行動は変わらない

先日某所で雑談している時に
誰かが
「経営者がブランド価値なんてのをマジに気にしだしたのは
ほんのここ5年くらいのことだ」
と言っていた。

私はその時、即座に
「いろいろ理由はあるにせよ、90年代末期から、企業の売り買いが増えて、ブランド資産がイヤでも目に見えるようになったことがいちばん大きい」
って言ってみた。
...というより、キチンと検証したことなんて一度もないのに
思わずそう言っちゃったんだけど。


でもまー、そんなに間違っちゃいないはずだ。

なぜなら、
欧米でブランド資産価値に経営者がちゃんとめざめて、常にそれを意識した行動を取るようになったのは、
80年代末期のM&Aブーム...そこで、物的資産価値や直近の業績なんかより、遙かに高い値がつく企業、安く売られる企業ってのが出てきたのが直接的なきっかけだったと言われているから。
そこでブランド資産価値があぶり出されたわけだよね。
例えばエビアンブランドなんて、買収価格の8割がブランド資産価値への支払だったって言われているくらいで。

そうなれば、ブランド資産価値...その市場価値を適性に計るのは、コンサルとか投資会社の重要な仕事になるじゃない。
そうなれば、そこで始めてブランドスコアの把握がどんどん実務として体系化されていく。

いや、ブランド資産論自体は、市場構造が本質的に変化し始めた70年代末期頃から始まり80年代には既に十分に語られていた。
しかし、それを分かりやすく数字であぶり出す機会・インパクトのあるエピソード...その厚みが、80年代末期まであまり出てこなかった
実務の体系ができていなかった
ということなわけだ。

--

日本の00年代に入ってからの「正覚」は、もちろんそれだけじゃなくて、
90年代末期にこうして体系化された知識を売る本が専門書としてはけっこう売れたりビジネス誌のブランド論解説みたいなのが増えて知識が浸透したり、
ITバブルの中で、殆ど企業名やサービス名の認知度だけに、とんでもない株価がついたりってのもあったし、中国進出とかの過程で知財保護とかの重要性を痛感したり、っていう....そんなこんなも影響してたんだとは思う。

でもまー、それだけじゃ、多くの経営者にとっては、「ブランド資産管理についての行動」を取らせる決定的な力にはならなかったはずだ。

数字を浮き彫りにするインパクトのある事例が出てきて始めて、
マーケティング関係の者が語っているだけじゃなくて
財務や法務...なんかも広く巻き込んだ...つまり、全社体制の真に企業戦略としてのテーマに浮上してきはじめたわけよ。

一部で語ってる人がいるだけじゃ、いっくら筋が通ってても、なかなか経営層は動かないし、全社体制もできないわけだ。

--

似たようなことは、情報セキュリティってテーマでもある。

情報セキュリティが大事だ大事だってのは多くの人がけっこう前から言ってた
わけだけど、
実感として、企業の担当者が急激にセキュリティに敏感になったのは...
言うこと・姿勢が突然変わりだしたのは、
明らかにソフトバンクBB、続けてジャパネットたかたの件があってからだ。
あの一連の事件で、情報セキュリティの問題は、大損害に繋がるって、ハッキリ意識されたのだ。

個人情報保護法なんて、その流れを加速しただけでしかない。

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他にも分かってはいても、イマイチなかなか動かない
っていうテーマは実に多いよね。

CSとかコンプライアンスとか環境とか...
マス偏重のコミュニケーション予算の再編とか...

でもね、相手の意識が変化するまで待ってても
変化が訪れた時に機会を刈り取れないからね。

変化が起きる少し前から、
アプローチしていてこそ
即座に実際的なアクションプランを提案できるし
「ふり返ってみれば、あそこだけが正しい助言をしていてくれた」
って大きな信頼をつくれるわけだからね。
posted by waki at 14:23 | Comment(0) | TrackBack(0) このエントリーを含むはてなブックマーク
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