2006年06月15日

選択肢過多は実を結ばない

さっきうちのと、
個性を尊重した教育で知られる私立をやめてきた子について話してた。

そこは基本的に子供を自由にのびのびさせるし、
芸術教育とかも力が入っていて、そういうところの常として
36色の絵の具を使わせる。

絵も「こう描きなさい」とは決して言わず
自由に書かせるし
型にはまらない表現をする子が誉められる。

で、例えば、その子にとっては
その36色ってのが辛かったんだそうだ。

公立の小学校にかえて、
12色の絵の具しか渡されず
あー描きなさい、こう描きなさい
って型にはめられて
ほっとして
やっと絵が描けるようになったんだって。

選択肢が多い(自由にさせるってのは、選択肢を沢山示すこと)
ってのは、
人によっては辛いことなんだよね。

このあたりについてはいろんな実験がされていて、
「完璧指向が強い人」ほど、
多様な選択肢が好きで
且つ同時に、多様な選択肢に弱い...選べないでフリーズするってことがわかっている。

最善を選びたいから、より多くから選びたいのだけど、
最善を選べなくて、後悔したりしたくもない
という気持ちが強すぎるわけ。

もちろん、選び取る上で必要な知識や興味・意欲...なんかも関係するわけだけどさ。

よく出てくる話題で、
豊富な品揃えで知られたカリフォルニアのスーパーで行われた
ジャムの試食販売実験ってのがある。

1ドルの割引券を買い物客に渡して、試食してもらうわけ。
6種類のジャムを並べてやる時と
24種類のジャムを並べてやる時と
どっちの方がお客さんがよってきて試食したでしょうか?

答えは、もちろん24種類のジャム。
豊富な選択肢は魅力なわけ。

じゃー、どっちの方が売れたでしょうか?

答えは、6種類のジャムの時の時の方が、遙かに売れた。

6種類のジャムから試食した人は、30%が購入し、
24種類のジャムの場合は、買ったのは3%だったんだよね。

豊富な選択肢は、
人をフリーズさせる...選びきれない=決断できない=行動できない
にさせるわけ。

他にも同じ様な実験で、
チョコレートを使ったのとか
401Kの運用対象ファンドの選択肢とか
いろいろ行われているけど
だいたいどれも同じで
やたらと、選択肢を増やすことは、良い結果を招いていない。

チョコの実験の場合なんて、
選択肢が多いと、チョコ全体への評価が下がったり、チョコを敬遠するようになったりしちゃうんだよね。
悩ませちゃダメなわけ。
悩ませると嫌われるわけ。

ちなみに6個というのも意味がある。

人がいっぺんにアタマの中にインプットできるのは
7前後なわけだから。

ちなみに私は、少しでも複雑な評価情報・評価のための知識が必要なものほど、
つまり単純に選択肢の名前を覚えれば済むというわけではない場合、
できる限り選択肢を簡略化すべきだと思っている。
...もちろん、選択肢がないのはダメなのだけど。

パソコンとか、クルマとかは、
2-3の大ざっぱな選択肢(基本グレード)があって
2の場合なら、アッパーグレードが落としどころ、
3ならミドルグレードを落としどころにしておき、
さらにその中に、2-3の単純な選択肢があるってのが理想だと思っている。
つまり、3×3。

「確実に適切に判断できた」と思える選択肢の数ってのは
「3段階から選ぶ」ってのが限界だから。
4つになると、もう後悔やフリーズを生みまくるわけ。

購入対象の選択を決してしまえば、
後は、たっぷりオプションを用意すればいい。
高額商品の購入を決めちゃった後は、一桁違う付随品についての判断はルーズになるものだ。 ...感応度逓減性...大きな判断した後はこだわってたはずの小さな事がどうでも良くなるってヤツだね。
本体の値引き交渉はシビアにやってた人が、オプション選択になった途端にルーズになっちゃうのはよくあること。

はなしがそれた。

もとい、

例えば、iPodとかは、
iPod, iPod nano, iPod shuffle
の3グレードで
さらにその中に2-3の選択肢がある。

でもって、最も売れるのが、
iPod nano の2GBモデルなわけだ。

立ち上がり時は、
イレ込んでる人とか、判断できる人(=たっぷり使うユーザの可能性も高い)が買うから、上位モデルほど売れたりすることもよくあるけど、
日が経てば、結局売れるのは、
ミドルグレードの中のミドルグレードなんだよね。

選択肢についての心理学は奥が深い。

ブランドも、選択肢の心理学との関係は深いし
...よいブランドの基本は、信頼=選択の失敗を回避した気にさせてくれるもの

マスメディアの役割とメディアリテラシーってのとかともそうだし

自由市場(選択肢が多い方がしあわせ)か
規制市場(選択肢が絞られた方がしあわせ)か
とか

横の平等とか機会の平等(基本的には、選択肢を多く取ることになる)か
縦の平等とか結果の平等(基本的には、選択肢を絞ることになる)か
とか

ほとんどあらゆる事に関係してくるよね。

--

はなし戻って、
選択肢が多いとフリーズを起こす人=「完璧指向が強い人」ってのは、
お勉強できた「よい子」が多いんだよね。

そりゃそうだ。
ちゃんとしようと苦しんで頑張るわけだから。

別にやらなくても良い選択だと、放棄しちゃうけどね。

ところが、そういう人が実際にビジネスの場に出るとどうなるか?

より確実な答えを得るまで、実質的にフリーズするわけ。
自由に考えて良いよなんて言われたら、それこそ困っちゃうのだよね。

こういう人って周囲にいっぱいいませんか?

そういう人にはね、
自由に考えろ!って言うとフリーズするし
「これをやれ!」って微にいり細にいり示すと、反感持つから、
だから、
実質的に2-3の選択肢を
極めて具体的に示すと良いよ。
その中から、選ばせるわけ。

--

規制緩和が進んだ90年代末期から(さらに遡れば、多品種少量生産が可能になった80年代半ば以降)、いろんな分野で選択肢爆発が起きているわけだよね。

だから、
よりブランドが重要になり
より広義の教育業や保証業...代わりに選んであげます。とか選び方を教えてあげます...が流行り、
よりクチコミが活発化し...クチコミとは評価情報流通...
より...

--

情報量(選択肢が多いということは情報量が多くて、それを処理しなきゃならないということ)
は、
信頼されるか否か、好かれるか否かと深い関係がある。

一般に、相手について、良く知っていればいるほど、把握できていればいるほど、信頼や好感度は高まる。
...もちろん、その内容が大きいのだけど、それについてはいったんおいておいてだ。
...基本的に好かれる要素を持っている・嫌われる要素が少ないとしたらってはなしだ。

しかしこのことは、矛盾している。

言い換えれば、情報量が多いほど良いと言うことになるけど、
情報が増えるほど、把握が困難になるからだ。
「選択肢が増えると、フリーズし、下手すると嫌悪されるの法則」の出番になってしまう。

だから、ブランドにも政治家にも商品にも...なんにでも好感が必要なものには、
単純なストーリー、首尾一貫して見える単純な原則が大事なのだ。

豊富な情報があって、それを単純な法則性で、首尾一貫簡単に処理できれば、
よく知っていて、よく把握できる
対象になるからだ。

小泉さんとかこのあたりは天才的だよね。

多面的な人は、とても魅力的だが、強く警戒される。
情報量に耐えられない種類の人からは、思いっきり嫌われさえする。

ナンセンス!って思えるようなことでも、
首尾一貫・ガンコに貫き通す人は、
めんどくさがられても、嫌われることは少ない。

昔からよく言われる
モテたければ、タバコの銘柄はあんまり変えない方が良いぞ
(今は、そもそも吸うなだろうけど)
ってのは、
浮気な人に見えるってだけじゃなくて
そもそもこういうことだったりもするわけだ。

あらゆるものがそうだけど
特に嗜好品からは、その人の性格とかを読み取ろうとするからね。
posted by waki at 01:32 | Comment(2) | TrackBack(0) このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
いやはや…

自分のことを言われてるように胸に刺さりました(笑


ボクの人生の場合、
選択肢が無限ループで襲ってきます。


なので、
体力も底なしに準備してないと
間に合わないっていう理論(笑

Posted by ジョー at 2006年06月16日 20:42
>自分のことを言われてるように胸に刺さりました(笑

えっ?

あっ!
ジャムが...もとい、女の子がずらっと並んじゃうから、選びきれないわけだ。(w

>体力も底なしに準備してないと

そりゃそうだよねー

試食ばっかりしてないで、さっさと決めちゃって下さい。

でもさ、こういうの書いたけど、
個人的には、
やっぱり選択肢が多い方が、しあわせだとおもうよ。

完璧主義者じゃないし、
ほどほどの結果なら、まず後悔すること無いし。
Posted by わき at 2006年06月16日 22:45
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