2004年12月12日

制作企画と営業企画 つづき 人件費の性質

ずいぶん以前に書いた「制作企画と営業企画」は、未だに(うちのサイトの中では)毎日けっこうなアクセスがある。

今日たまたま、これに関することを雑談で話してたので、その流れでもうちょっと補足しようと思う。

以前に書いた時は、はっきりとは書かなかったが
制作企画と営業企画では、
支払われるお金の性格が違う。

もっと簡潔に言ってしまえば、
営業企画の方が遙かに桁違いに高い報酬が支払われることがある。

なぜか?


これまた以前に書いたと思うけど、
(これは私のオリジナルじゃなくて、元はどこかのコンサルが言ってたことだけど)
人件費には、3種類の性格のものがある。

1.投資的な性格
2.販売費的な性格
3.生産原価としての性格

営業企画は、
2、時には1に相当する。

だから、そこにインセンティブを付けようという
マネージメントの心理が働く。

「あいつに頼めば、このコンペ取れるかもしれない」
「あいつに頼めば、新しいクライアントに切り込めるかもしれない」
「あいつに頼めば、売れるしくみやウリモノがつくれるかもしれない」

こういう「期待」だ。

だから、頭一つ抜きでるだけで、報酬はあがっていく。

ところが、制作企画は
ビジネス機会獲得自体は決した後の仕事だから
どうしても生産原価として扱われてしまう。

マネージメントは、生産原価はできる限り切りつめようとする。

もちろん、改めて言うまでもないが、
制作企画と営業企画とどっちがエライとか、
どっちやってるのが優秀とか、
そういうことは本質的に関係ない。

制作企画は実際に作り上げるもののクオリティに直接関連するから、
優秀でなければ、顧客ロイヤリティに影響する。

優秀であれば(もちろん制作トータルとしてだけど)、
顧客はまた頼もうと思うわけだから、
結果的には営業費を削減できる。

本来は、売り歩かずに売れるのが企業の理想のハズだ。

しかし、それでも、マネージメントにとって
利益創造は生産原価を削るのがいちばんわかりやすいし、
クライアントにしてみても、
常にコストを削りたい。

特にクライアントの窓口が決裁権を持ってるわけではないことが多い。

だから、どんなに良い仕事をしていて、
それが効果をあげていても、
クライアントの窓口の上司や、コスト管理部門からは
もっと他の安いところを探してみろという圧力が働き続けるわけだ。

広告業界は、おそらく多くの他の業種よりもずっと
高い報酬の人たちと、低い報酬の人たちの差が大きく分離してる業界じゃないだろうか?

これにはいろいろな理由があるが、
本質的には、クライアントにとって
上手く行った時の効果の大きさ(期待値の大きさ)と
特段上手く行かなかった時の評価の曖昧さ=故にまっさきに削りたい販管費
という2重の性格を持っていることが大きい。

それから、
プロダクションの給与ってのも、
相当に開きがあるわけだけど、
これもプロダクションの提案力=営業企画力の差がはっきり出てしまう
結果だ。

ちなみに給与と、企業のパワーは必ずしも一致しない。

例えば、極めてニーズが高く独自性のあるウリモノや他にない効率的なネットワークなどを持っているところは
もちろん企業単位で見れば勝ち組になる。

しかし、営業機会などを代理店などに依存しきっていると、
やはり給与は低く抑えられてしまう。
なぜなら、そこで働く人は、生産原価扱いされるからだ。

そうだ、
誤解が出るかもしれない。

「制作」をやっているから、報酬が高くならないのではない。

例えば、演出のスター、デザインやコピーなどのクリのスター...
こういう人たちの報酬は極めてたかい。

しかし、こういう人たちは、前述の「期待」を背負うことで、
実は営業力なのだ。

では、制作企画でも同じ様な構図はあり得るだろうか?

実は、ほとんどない。

なぜなら、制作企画がつくるのは営業企画と同じでやっぱり書類でしかなく、
そこには期待は投影されないからだ。
(しかし、ビジネス機会自体をもたらす営業企画には期待が発生する)

いや実は
制作企画的なことばかりやっていても、報酬が高くなるケースがある。
これには幾つかのパターンがあるが、
最も一般的なのは、
提案力(営業企画力)が極めてたかい会社の中で、
やっている場合だ。

こうなると、メーカーの商品企画や経営企画でものすごく優秀な人が
ビックリするほど低い給与でやってる...外資なら無条件に3倍くらい即座に払いそうな...のと同じしくみの逆の効果で、
企業全体にあわせて、引き上げられているからだ。
銀行の窓口業務でも、他の似たようなサービス業と違って給与がいいのと同じリクツだ。

ただ、違うのは、制作企画の方が遙かに高度な知的生産してるってことだけ。

だから、私は、いつも
「プランナーになりたい」
って言ってる人たちには、
「営業企画を意識的にやれ!」って言ってるわけ。

そうじゃなくて、もっとリアルな制作に関わっていたいなら、
演出家とかプロデューサーとか、そういうのを目指して、そういうところでスターになった方がいい。
posted by waki at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) このエントリーを含むはてなブックマーク
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